愛知県豊橋市が市中心部で進めている、多目的屋内施設(新アリーナ)の整備事業をめぐり、継続の賛否を問う住民投票が20日、投開票された。開票結果が21日朝に明らかになり、賛成10万6157票、反対8万1654票で、賛成多数となった。当日有権者数は28万9141人で、投票率は65・67%。
住民投票条例で市長や議会は結果を尊重する、とされている。住民投票の結果を受け、豊橋市の長坂尚登市長は「市民による選択として重く受け止め、尊重して参ります。今後の対応については、できるだけ早くご報告させていただきます」とのコメントを発表した。
市議会の小原昌子議長も「今回の結果を市議会としても重く受け止めたいと考える。市長におかれましては、引き続き議会と連携・協力して、物事を進めるよう努めていただきたい」とのコメントを出した。
新アリーナ計画の推進を求めてきた市民団体「新アリーナを求める会Neo」は20日夜、集会を開き、地元メディアから出口調査にもとづく「賛成多数」の一報が流れると、拍手が起こった。
小林佳雄代表(76)は「夢みたい。僕ら(事業推進派)が勝つとは想像していなかった。追い詰められるような気持ちでやっていた。明るい気持ちで進むことができます」と述べた。
また、小林代表は、交通渋滞の問題など、計画に反対する市民の声にも理解を示す。「豊橋市で初めて行われた住民投票を価値あるものとしたのは、市民のみなさまの真摯な姿勢と行動に他ならない」とした。
一方、豊橋公園近くの反対派グループ「豊橋公園の緑を未来につなぐ会」の事務所。20日夜に同じく大勢判明の報道を受け、グループの藤田茂樹共同代表らが記者会見した。藤田さんは「やれることはやったが、残念だ。参院選公示後、組織的な運動ができなくなり、オンライン勉強会もしたが反応は少なかった」と無念そうに話した。新アリーナの課題が伝わらなかったとして、今後も裁判などを通じ、問題点の指摘は続ける考えだ。
市の対応については、「市も契約解除を申し出ている以上、その説明はするべきだった。長坂市長は本気ではないと伝わってしまった」と語った。
今回、賛成、反対の一票を投じた豊橋市民は何を重視したのか。朝日新聞記者が19日までの3日間、期日前投票を終えた100人に4択で尋ねた。
「賛成」とした理由で最も多…